邦画〜映像の世界   NO.2  

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 「丹下左膳・怒濤篇」(1959)       オススメ度★★★
監督 松田定次
配役 丹下左膳:大友柳太郎 伊吹大作:大川橋蔵
大友柳太郎の丹下左膳は明朗快活で観ていて楽しい。5部作のなかの「怒濤篇」は与力役の大川橋蔵との立回りもあって見ものです。大川橋蔵は”若いのにやり手”という役がとてもよく似合います。


 「浪花の恋の物語」(1959)        オススメ度★★★
監督 内田吐夢
配役 亀屋忠兵衛:中村錦之助 梅川:有馬稲子/片岡千恵蔵
生真面目一本槍の忠兵衛と心根の優しい梅川の、切なくも悲しい心中物語。忠兵衛のような大人しい役は中村錦之助には珍しいですが、2人が次第に追い詰められ転落していく様は見ものです。しかし、最後の心中が未遂に終わってしまうのはなんとも残念でした。悲劇を表現している点では成功しているのかもしれませんが、もう少し夢を持たせてくれてもよかったのではないでしょうか。


 「幕末残酷物語」(1964)         オススメ度★★★
原作/脚本 国弘威雄
監督 加藤泰
配役 近藤勇:中村竹弥 土方 歳三:西村晃 沖田総司:河原崎長一郎
希望に燃え入隊した江波三郎(大川橋蔵)が、新選組の局中法度による厳しい規律の中で次第に人間性を失っていく様を描いています。近藤さんや土方さんは冷酷この上ないし、そんな二人に従いながらも疑問を抱く沖田さんは救いようのないくらい孤独ッキー…。男色もそこはかとなく臭わせて、新選組の陰の部分をこれでもかっというほど見せつけてくれます(苦笑)。唯一の救いは、沖田さんがさり気なく江波三郎を庇うシーンでしょうか。河原崎長一郎さん演じる沖田総司、暗いんですが個人的に好きでした(笑)。

 「幕末純情伝」              オススメ度★★★★
原作/脚本 つかこうへい/薬師寺光幸
監督 薬師寺光幸
配役 沖田総司:牧瀬里穂 坂本竜馬:渡辺謙 土方歳三:杉本哲太 近藤勇:伊武雅刀
沖田総司は実は女だった?という、とんでもない設定なんですが、ここまで史実を無視して痛快ドタバタコメディに徹していると、反対に潔くて非常に面白いです。沖田総司をめぐって、坂本竜馬と土方歳三が対立するのですが、タフで物怖じしない坂本竜馬に対して、土方さんがなんともだらしなく、しかしそこがまた可愛かったりもするのでした(笑)。最期に、土方さんが沖田さんを背負って草原を歩くシーン、絶対あり得ないんですが、思わず良いなあと和んでしまいました。

 「幕末の動乱」(1960)         オススメ度★★★
原作/脚本 白井喬二/比佐芳武
監督 佐々木康
配役 近藤勇:片岡千恵蔵 土方 歳三:黒川弥太郎 沖田総司:若山富三郎
片岡千恵蔵演じる近藤勇が勤王派からも一目置かれる存在として描かれています。池田屋事件に伊東甲子太郎がいたりと、時代背景はめちゃくちゃですが、思想の異なる勤王派と佐幕派がともに日本の未来のために翻弄している姿が爽やかに描かれています。大川橋蔵演じる但馬織之助は、敵ながらなかなかの好青年。因みに、土方さんと沖田さんは、”いいひとたち”だけど、ちょっと短気(笑)。近藤さんが二人を宥める様子は、まるで先生と生徒という感じ。

 「反逆児」(1961)             オススメ度★★★
監督 伊藤大輔
配役 徳川三郎信康 :中村錦之助  服部半蔵 :東千代之介
徳川三郎信康 の悲劇を描いた作品。追い詰められる三郎信康の苦悩を中村錦之助 が見事に演じています。最期の切腹の場面、東千代之介演じる服部半蔵 が三郎信康 を想う余り介錯できず往生するところはなんとも痛々しかったです。早く楽にしてあげたほうがいいんじゃないかと思うくらい引っ張ります(笑)。

 「武士道残酷物語」(1963)         オススメ度★★★★
監督 今井正
配役 飯倉次郎佐衛門ほか:中村錦之助  東野英治郎  有馬稲子 丘さとみ 三田佳子
武家社会の陰惨な出来事を描いた作品。代々武士として主君に仕える飯倉家、中村錦之助はその飯倉家の7人もの役に挑戦しています。主君のためには死をも辞さないという忠誠心は見事ですが、7人もの悲惨な終末を立て続けに見せられるとさすがに嫌気がさしてきます(笑)。しかし、中村錦之助は小姓から老武者まで、幅広い役柄を見事に演じきっており、それぞれのエピソードも一つの作品になるのではないかというくらい充実しています。特に修蔵が実の娘とその恋人を自らの手で処刑してしまう場面は圧巻。このときから中村錦之助は、娯楽映画からの変換を余儀なくされた時代劇界の先陣として多くの作品に携わることになります。


 「股旅・三人やくざ」(1965)        オススメ度★★★
監督  笠原和夫(秋) 中島貞夫(冬) 野上龍雄(春)
配役 仙太:仲代達矢 源太:松方弘樹 久太郎:中村錦之助
仲代達矢、松方弘樹、そして中村錦之助がそれぞれの股旅を演じています。仲代達矢は秋をモチーフとした渋いやくざ。松方弘樹は冬の寒さのなかにほのかな灯を見つけるやくざ、そして我らが錦ちゃんはちょっとかっこわるいながらも人情に厚いヤクザを演じています。

 「瞼の母」(1962)             オススメ度★★★
監督 加藤泰
配役 番場の忠太郎:中村錦之助
幼い頃瞼に焼き付いた母親の面影を求めて流離う忠太郎。忠太郎は母探しの旅の途中で、数人の女性に出会います。しかし、真の母は子との再会を望んではいませんでした。忠太郎は、母の声を聴きながら独り旅立っていきます。後半で、忠太郎が盲目の女性を助ける場面があるのですが、ここで中村錦之助が見せる表情がとても印象的でした。

 「水掛時次郎・遊侠一匹」(1965)      オススメ度★★★★
監督 加藤泰
配役 水掛時次郎:中村錦之助 六ッ田の三蔵:東千代之介 /渥美清 池内淳子
中村錦之助にとって最後の股旅もの。渥美清が死ぬ場面は泣けますが、中村錦之助と東千代之助の決闘の場面にも泣けます。勝てぬ相手と知りながら、時次郎との勝負を受ける三蔵。この時、東千代之介の出番はほんの少ししかありませんが、実に潔くかっこいい男を演じています。後半、時次郎は三蔵の妻との再会を果たし、つかの間の幸せなひとときを送りますが、その時の時次郎の顔がなんとも優しげで、それだけに最期の別れが切なく涙を誘います。


 「柳生一族の陰謀」(1978)         オススメ度★★★
監督 深作欣二
配役 柳生但馬守宗矩:中村錦之助 /千葉真一
東映を離れていた中村錦之助は、この作品で再び東映に戻ってきました。錦之助は何度も「嬉しい」を連発し、現場の関係者、京都中が沸き返ったといいます。この作品で中村錦之助は陰で糸を引く柳生但馬守宗矩役を演じていますが、落ち着いた風格のある演技は、長年スターの座を歩んできた錦之助の歴史を物語っているようでした。初々しい真田広之にもご注目!


 「若さま侍捕物帖」(1956)         オススメ度★★★
監督 佐々木康
脚本 結束信二
配役 若さま:大川橋蔵
大川橋蔵演じる若さまが難解な事件に巻き込まれながら持ち前の好奇心と正義感で解決していく物語。これもシリーズ化されています。女形出身の大川橋蔵は快活な男児を演じていてもどこかしら物腰が柔らかで、作品の至る所にその優美さが溢れています。特にこの作品では着流しと月代がなんとも色っぽく溜息ものです(笑)。完璧です(笑)。以前すっぴんの顔を(写真で)拝んだことがあるのですが、大川橋蔵は本当に白塗りが栄える顔立ちをしておられます、よね(笑)。

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