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 「仇討」(1964)             オススメ度★★★
監督 今井正
配役 江崎新八:中村錦之助
公平な果し合いのはずが、身分の低さゆえに仇討の対象となってしまう主人公、江崎新八。形式に捕らわれて人間性を失いつつある武士道の陰湿なしがらみを描いています。当時、中村錦之助は「武士道残酷物語」など残酷描写を扱った作品にも挑戦していますが、「一心太助」などの爽やかなイメージからは想像も着きません。最期の立ち回りは刀に刃引きまでして撮影に挑んだそうです。

 「伊能忠敬−子午線の夢」(2001)      オススメ度★★★
監督 小野田嘉幹
配役 伊能忠敬:加藤剛 お栄:賀来千香子 伊能イネ:西田ひかる 山片蟠桃:中野誠也 
夢と共に人生を歩み続けた男、伊能忠敬。加藤剛さんの誠実な人柄がよく表れていた作品だと思います。中野誠也さんも豪商・山片蟠桃役として、味のある最後を締めくくってくれました。同じ学者として相手(伊能忠敬)を認め、尊敬の念を抱く。パンフレットの中で中野誠也さんはそうおっしゃられていましたが、まさに男の浪漫というべき見せ場を見せて頂いた気がします。女性には真似のできない世界ですね。しかし、作品の中に出てくる女性群も光っておりました。お栄役の賀来千香子さんに、伊能イネ役の西田ひかるさん。そのひたむきで前向きな姿勢に、なんとも日本人女性のタフさを見た気がします(笑)。

 「沖田総司」               オススメ度★★★
原作/脚本 大野晴子
監督 出目昌伸
配役 近藤勇:米倉斉加年 土方 歳三:高橋幸治 沖田総司:草刈正雄
なんとも男臭い映画です。草刈正雄演じる沖田総司はいつも前をはだけさせてとってもワイルド。きっと兄貴分の土方歳三のせいなんだろうなというくらい、二人がつるむ場面は暑苦しい男の熱気がムンムンしていました(笑)。大声で叫びながら走ってゆく姿は、まさに「柔道一直線」?古高俊太郎の拷問の場面は凄まじいです。


 「血斗水滸伝・怒濤の対決」(1964)    オススメ度★★★★
監督 佐々木康
配役 洲の崎の政吉:中村錦之助 /片岡千恵蔵 市川右太衛門
片岡千恵蔵や、市川右太衛門主演のールスター作品。中でも中村錦之助演じる政吉はひときわ光っていました。義理の板挟みに絶えながら苦悩する政吉。追い込まれてもあくまで自分の義を貫く姿には心打たれました。中村錦之助は、デビュー当時の爽やか青年や、「一心太助」のようなちゃきちゃき江戸っ子二枚目半というイメージが強いですが、このような深みのある大人もまた魅力的ですね。

 「御法度」(1999)           オススメ度★★★
原作/脚本 司馬遼太郎/大島渚
監督 大島渚
配役 近藤勇:催洋一 土方 歳三:ビートたけし 沖田総司:武田真治 加納惣三郎:松田龍平
「新選組血風禄」の「前髪の惣三郎」が原作。惣三郎役は故松田優作の長男、松田龍平。
そのほか、近藤勇に催洋一、土方 歳三にビートたけし、と異色のキャスティングが話題となりました。個人的には土方さんと山崎さんとの掛け合いが面白かったですね。お笑いの二人が、コミカルなんだけど真面目に土方と山崎を演じている…。恐るべし、大島渚監督。


 「里見八犬伝」(1954)            オススメ度★★★★
監督 河野寿一
配役 犬飼現八信道:中村錦之助 犬塚信乃:東千代之
八人の剣士が不思議な石によって運命的な出合いを果たす物語。犬飼現八信道役の中村錦之助と犬塚信乃役の東千代之助が、城の屋根の上で戦う場面は見もの。

 「地獄変」(1969)            オススメ度★★
原作 芥川龍之介
監督 富田四郎
配役 堀川の大殿:中村錦之助
良秀という絵師の心の狂気を描いた作品。中村錦之助演じる堀川の大殿さまも、その狂気に吸い込まれるように地獄を味わう(導く?)ことになるのですが…。

 「新吾十番勝負」(1959)         オススメ度★★★
監督 松田定次
配役 葵新吾:大川橋蔵 /大友柳太朗
将軍家の落胤、葵新吾が多くの苦難を乗り越えながら、剣の道を突き進んでゆく物語。まだ見ぬ母への想いを募らせながら必死に耐える姿には心打たれますが、あまりにすれ違いの展開に、ちょっと苛立ちを覚えてしまったりもしました(笑)。
大川橋蔵さんはこのとき30歳。華奢な身体つきに加えて、自らポニーテールを意識して作ったといわれる前髪姿は、どう見ても女の子のよう。

 「新諸国物語・笛吹童子」(1954)     オススメ度★★★
監督 萩原遼
配役 菊丸:中村錦之助 萩丸:東千代之介
東千代之介と中村錦之助はこのシリーズで少年少女のヒーローとなります。6歳の年の差もあって兄弟という設定が多かったようですが、二人が本当の兄弟だと思っていたファンもいたとか。

 「新諸国物語・紅孔雀」(1955)      オススメ度★★★★
監督 萩原遼
配役 那智の小四郎:中村錦之助 浮寝丸:東千代之介
中村錦之助の小四郎もカッコよかったですが、東千代之介演じる浮寝丸も素敵でした。彼は静かに忍ぶ役がとてもよく似合います。また、五升酒の猩々役の大友柳太朗さんも豪快な笑いと殺陣で、見せ場を盛り上げてくれています。

 「新選組鬼隊長」(1954)        オススメ度★★
原作/脚本 子母澤寛/高岩肇(結束信二)
監督 河野寿一
配役 近藤勇:片岡千恵蔵 土方 歳三:原建策 沖田総司:中村錦之助
近藤勇が流山で投降するまでの話を描いています。あくまで片岡千恵蔵の近藤さんが主人公なので仕方ありませんが、それにしても土方さんの扱いが酷すぎます(笑)。口は悪いわ、短気だわ、考え無しだわ、本当に性格が悪い…(笑)。中村錦之助演じる沖田総司は可愛くて良かったんですが、土方さんとの接点が悲しいくらいありません。近藤さんが主人公なので仕方ないのですが…(笑)。

 「勢ぞろい喧嘩若衆」(1955)      オススメ度★★★★
監督 佐伯清
配役 弁天小僧菊之助:中村錦之助 南郷力丸:東千代之介
中村錦之助の弁天小僧菊之助に東千代之の助南郷力丸、素性がばれて啖呵をきる場面は見もの。この頃の中村錦之助は着流しを着ていてもどこか中性的な魅力がありました。

 「関の彌太っぺ」(1963)         オススメ度★★★★★
監督 山下耕作
配役 関の彌太郎:中村錦之助 /月形龍之介 十朱幸代
彌太郎は必死に稼いだ金を持って妹を迎えに行く途中、父親と死に別れた一人の少女に出会います。父親の遺言通り少女を知人の元に送り届けた後、いよいよ妹を迎えに行きますが、時既に遅く妹の死を知らされます。月日が流れ、荒んだ彌太郎のまえに再びあの少女が現れます。ほのかな灯を取り戻す彌太郎。最後の「忘れて日が暮れりゃあ明日になる。ああ、明日も天気か。」という言葉が胸を打ちます。

 「銭形平次」(1967)          オススメ度★★★★
監督 山内鉄也
配役 銭形平次:大川橋蔵 /舟木一夫
大川橋蔵さん東映京都最後の作品。テレビドラマの「銭形平次」は皆さんもご存じだと思いますが、この映画にはその平次が十手持ちになるエピソードが描かれています。共演の舟木一夫も正義感溢れる好青年を演じていました。大川橋蔵さんはこの映画の後もひたすら「銭形平次」を演じ続け、テレビドラマの「銭形平次」では全888話という世界的な記録を残しました。

 「曽我兄弟・富士の夜襲」(1956)    オススメ度★★★★★
監督 佐々木康
配役 曽我十郎:東千代之介 曽我五郎:中村錦之助
父を討たれて18年、離ればなれになりながら互いに励ましあう曽我の十郎と五郎。富士の裾野で父の仇を討つまでの物語を描いています。兄役の東千代之介は、思慮深く落ち着きもありまさにハマり役。また、弟役の中村錦之助も”錦ちゃんパワー”炸裂で、母親に目通りが叶わなかった時のしょぼくれ方など、かわいいことこの上無し(笑)でした。
討ち入りの際、東千代之介が大友柳太郎に討たれるときの場面は見ものです。人間、あのように潔く最期を委ねられるものでしょうか。合掌。

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