■PLAY■■

ヴェニスの商人

2001/11/15〜 

 □作  ウィリアム・シェイクスピア
 
演出 イオン・カラミトル
 □出演 Shylock…中野誠也
     Antoio…小山力也
     Bassanio…田中茂弘
     Portia…小川敦子
     Nerissa…執行佐智子
     Old Gobbo…立花一男
Gratiano…星野元信
Salerio…石田 大
Lorenzo…渡辺 聡
Launcelot…河内 浩
Jessica…西田有希
ウィリアム・シェイクスピアの有名な戯曲。日本での公演は4日間と短かいものでしたが、イギリスでの上演は見事成功を収め、大盛況だったそうです。
舞台セットは至ってシンプル。衣装も含め"和"を上手く取り入れており、出演者や場を上手く引き立てていました。特に着物や羽織袴をアレンジした衣装は色柄も美しく、芸術的要素もたっぷりの演出でした。さて、本題のお芝居はというと、若手俳優のエネルギッシュな演技も去ることながら、ベテラン俳優勢の中野誠也さんも圧倒的な存在感で"shylock"を演じていました。劇中の中野誠也さんはその強欲さと憎悪の深さゆえ破滅してゆく"shylock"役を大変見事に演じており、"Antonio"役の小山力也さんに向かって憎悪をむきだしにしている姿には、並みならぬ緊迫感と存在感がありました。その演技は、若手俳優の中にあって常に何かと競合し、衝突しているようにも見えます。そのエネルギーたるや計り知れません。最後の意味深な演出も見ものでした。


「黄金色の夕暮」

2001 

 □作  山田太一
 
演出 安井武
 □出演 花岡雅之…中野誠也
       睦子…川口敦子
       八重…川上夏代
       一也…田中壮太郎
     内田隆史…遠藤剛
        香…森尾舞
地検事務官…志村史人
      谷部央年
      久保田涼子
      生原麻友美
ある銀行員の一家と地検検事の家族のある出来事を描いた作品。中野誠也さん演じる花岡 雅之は、ある都市銀行の支店長。仕事しか取り柄のない、なんとも影の薄いお父さん役で登場します。加えて、家族に感心のない子供達。一家は、同じ屋根の下で暮らしながら、淡々とした生活を送ります。そんな最中「商法違反容疑」で家宅捜査を受けるという大事件が起ります。
花岡家と内田家のドタバタ劇も去ることながら、なんといっても中野誠也さんと川口敦子さんの夫婦の掛け合いが面白いです。ある事件を通じて花岡家が次第に心を通わせていく様子も見ものです。中野さんもこんな”お父さん”なのでしょうか…(笑)。


「伊能忠敬物語」

1999 

劇団俳優座創立55周年公演として上演された舞台です。
伊能忠敬は17歳で伊能家に婿入りして、働き詰めに働いた後、55歳にして第二の人生を自分の足で歩み始めます。それは、全国を測量して日本地図を作るという前代未聞の試みでした。
伊能忠敬役に加藤剛さん。因みに中野誠也さんは幕府天文方・高橋至時役で出演しています。高橋至時は伊能忠敬を日本地図作成へ導く重要な人物です。

どうでもいいことなんですが、パンフの稽古の写真、何故中野さんだけ洋服なんでしょう(笑)。


「千鳥」

1999 

山陰地方の旧家佐葦家28代当主・光之進(児玉泰次さん)は、娘孫の千鳥(森永明日香さん)に愛情を掛けてやることができないでいました。それは娘・照美(田野聖子さん)が光之進の反対を押し切り、地質調査に来た学生・御影(中野誠也さん)との間にできた娘だったからです。この一件で、御影は光之進に斬られ、照美も千鳥を生むと姿を消してしまいます…。千鳥はそんな光之進の荒んだ心を次第に溶かしてゆくのでした。
敗戦後の山陰の旧家、冒頭を聞くだけで重々しく心にのしかかる作品です。
でも、個人的にこういう光と影を持ち合わせた作品は好きです。
中野誠也さんの青年役も観てみたいですね!

パンフの稽古場風景の眼鏡をかけた中野さん。渋過ぎます(笑)。これで御影役をされたら、ちょっとやばいかも…(笑)。


「カラマーゾフの兄弟」

1999 

成金で強欲な父フョードル(松野健一さん)とその息子達の物語。中野誠也さんは長男のドミートリィ・カラマーゾフを演じます。ドミートリィは、父親同様抑制のきかない退役大尉で、ことあるごとに父親と対立します…。ある日身に覚えのない父親殺しの罪でドミートリィが逮捕されます。次男のイワン(武正忠明さん)、三男のアリョーシャ(森 一さん)は…。
中野誠也さんのドミートリィ・カラマーゾフ。どんな癖のある役を観せてくれたのでしょうか。


「ゆの暖簾」

1996 

先代の女将が亡くなり旅館の新社長として赴任した敬一(中野誠也さん)は、経営建て直しのために宿泊料の大幅値下げを打ち出します。新女将の寿美子(河内桃子さん)や老支配人の史郎(武内亨さん)は旅館をまとめようと尽くしますが、老舗の対面を保とうとする板長や仲居と対立し、遂に旅館から去られてしまいます。
中野さんにはめずらしい(?)喜劇です。しっかり者の新女将・寿美子に励まされながらもどこか頼りない気弱な社長を好演されています。
中野さんご自身は結構喜劇も好きだそうで、「季節はずれの長屋の花見」の大家、「十二夜」のマルヴォーリオ、「女学者」のトリハッタンが好きだったとか…。


「アドルフに告ぐ」

1994 

漫画家の手塚治虫先生の作品。1936年ベルリンオリンピックの取材に訪れた記者・峠草平(中野誠也さん)は、弟がある機密文書のためにゲシュタポによって殺されたことを知ります。その頃神戸には二人のアドルフが住んでいました。第二次世界大戦勃発。二人のアドルフ。そして、ある機密文書とは…。


「山帰来荘−私の夢二」

1993 

ある電車の中で知り合う竹久夢二(中野誠也さん)と岡本夏枝(日下由美さん)。
親子ほどの年上の夢二に父親の面影を重ねながら、夏枝は山帰来荘で暮らすようになります。なにもかもが新しく楽しい日々。夏枝はいつしか夢二という男を愛していることに気づくのでした…。
中野さんの夢二。30歳年下の夏枝との恋。どれをとっても興味をそそられる内容です。なぜパンフに稽古写真がないのでしょう(泣)。


「季節はずれの長屋の花見」

1993 

慶応4年の江戸時代末期、官軍に追われた彰義隊の残党六太夫(加藤佳男さん)を匿うことになった長屋の住民と大家(中野誠也さん)さん。長屋の人々は六太夫を助けるべく画策しますが、官軍の探索に長屋全体はもう大騒ぎになります。
しかし、当の六太夫は何者かの手によって無惨な死を遂げてしまい…。
一見下町の人情ものと捕らえがちですが、最後に何事もなかったかのように時勢に乗っていく長屋の人々のしたたかさが一種の風刺にも感じられる舞台です。

パンフの中野誠也さん演じる大家さんは、猫背でなんとも気難しそうな人物のよう。でも大騒動に巻き込まれて泡を食っている所はなんとも滑稽です(白眼をむいてます…笑)。同じ年に、夢二を演じた同一人物とは思えません(笑)。



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