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■STORY 1〜13■■

<< STORY 14〜26 

各回を随時更新してゆきます。
皆さまのご感想はスレッド掲示板をご覧下さい。

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■「新選組前夜」

 第 1話 

文久3年、小石川にある天然理心流試衛館は、流行っていた疫病で村人も活気を失い、誰も寄り付かない道場になっていました。
しかし、近藤勇、土方歳三、沖田総司、井上源三郎を始め、山南敬助永倉新八、原田左之助、斉藤 一、藤堂平助らは、裏通り先生曰く「疫病も寄り付かぬ」ほどの剣豪で、何事にも動じず道場にたむろしていたのでした。
土方は、道場のために姉のお信のところへ金策に出掛けます。困った弟といいながらお金を手渡すお信。歳三はこの姉にだけは逆らえないのか、ぶっきらぼうながらもなんとも可愛らしい弟ぶりを見せてくれます。そこで、佐絵が京都に嫁ぐことを知る土方。その夜、佐絵に呼び出された土方は甲源一刀流の連中が雇った剣客・七里研之助の待ち伏せに会います。七里の剣に危うく倒れそうになる土方。しかし、沖田が現れ、難を逃れます。
ある日、幕府が将軍護衛のため浪士を募っているという話を聞き、近藤は京都に上洛することを決意します。土方はお信に武士になると告げ、「之定」を手に入れます。
江戸試衛館、最後の夜。土方は「之定」を手に七里と対決します。七里を斬り、「之定」の確かな手応えを感じながら、そして新しい時代に胸を膨らませながら、土方は江戸を後にするのでした。

■「春の月かげ」

 第 2話 

期待と希望に胸を膨らませ上洛した近藤らは、清河八郎の演説を聞いて愕然とします。それは、勤王となり反幕を唱えるものでした。清河に賛同する浪士たちを尻目に、壬生に残る決意をする近藤一派と芹沢一派。しかし、芹沢派は天下を取ったかのごとく好き放題の生活を送ります。芹沢一派の傍若無人な行動を目の前にしながら、京都守護職への渡りをつけるためひたすら耐える近藤派。
そして、やっとのことで会津藩お預かりとなった新選組。土方は早速、隊士を集めようと総出で京都や大阪の町道場を廻ります。しかし道場は、なんの補償もない得体の知れぬ浪士を相手にしてくれません。途方に暮れながらも、”誠”の士道を唱える隊士たち。そこにはいつしか、”誠”の士道に共感し静かに情熱を燃やす山崎烝と河合耆三郎の姿があるのでした。
私は、この時の中野誠也さん演じる山崎烝の顔が忘れられません。名もなき浪士の話にじっと耳を傾ける姿。道場の誰もが笑って相手にしない中、ただ一人”己のあるべき道”を見い出した彼の目は、まさしく”誠”の士だったのです。
こうして、新選組は新たな時代へ突入することになります。

因みに、この回で芹沢が清河を討ち漏らす場面があるのですが、芹沢鴨に「し損じた」と非難してしまう土方さんの神経の図太さには閉口(笑)。さすが最後まで新選組を率いた人物だけのことはあります。

■「三条木屋町・紅屋」

 第 3話 

新選組が会津藩お預かりとなり、土方歳三は早速組織づくりに励みます。組織をまとめるために局中法度を作り規律を守ろうとしますが、ことあるごとに芹沢派と対立する日が続くのでした。主君も持たない寄せ集めの集団をいかに纏めるか、法度書を芹沢や新見に提案しますが、反対に「士道とはなにか」と問われます。言葉にならない二人。土方と近藤の”士道”とは、文字や言葉では表せないものであり、これから彼らが身を持って歩もうとする”道”なのでした。ここで少し意外だったのは、全く取り合わない新見に対して芹沢が「水戸には水戸の武士道がある。士道とは藩法のようなものだ。」とある意味、明確な答えを出したことです。傍若無人ではあるが、彼もまた彼なりの士道を持った人物なのです。ちょっと格好良かったですね(笑)。
ある日、守護職からの帰り道、土方歳三はただならぬ気配に気付きます。ここで、登場するのが中野誠也さん演じる監察・山崎です。密かに二人の護衛をしていたという山崎は、発足したばかりの組織の中でただ一人、己のするべき職務を模索し実行している真面目な隊士として登場します。その誠実さを買われ、後の監察・山崎が誕生するのです。が、よくよく考えるとその登場が可笑しい(笑)。このとき結構細い木の裏からさっそうと出てくるのですが、隠れている姿は全く見えない。監察の素質があったとしても、この時の中野誠也さんは驚くべき細さです(笑)!山崎の誠実な人柄をアピールする貴重な場面なのですが、見れば見るほど気になってしまうのでした(笑)。
また、この回は新選組の晴れ舞台となるべくある事件を描いています。土方と沖田は市中巡察に出た際、九条家の公卿侍が長州に斬殺される場面に遭遇します。長州侍を追い三条木屋町の紅屋に駆け込む二人。この時、土方さんが岡っ引きや同心に何度も「会津藩お預かりの新選組だ」「新選組の土方と沖田だ」と言っているのが笑えるのですが(笑)、本人は新選組を売り込もむことしか考えていないのか(笑)、自分の命も顧みず長州に挑みます。
この手柄により、新選組は会津藩から報奨金を戴き、長州を始めとして京じゅうにその名を知られることになります。早速、長州勢の待ち伏せを食らう土方と沖田。またもや、(いつの間に?)護衛していた山崎も加勢し、新選組結成の確かな手応えを確認しあうのでした。

因みに、河合さんが鯖寿司を振る舞う場面があるのですが、ここでの試衛館の面々のやりとりは何度観ても微笑ましいです。原田さんが「近藤さんにも持っていこう」と分ける下りは、試衛館時代の素朴な絆を物語っているようで感動してしまいます。また、「ほな、ご免!」という河合さんの言葉にもご注目。商人武士入り乱れた言葉がなんともコミカルで笑えます。


■「里御坊の女」

 第 4話 

新選組の名も知れ渡り、隊士はだんだらの隊服を着て巡察の職務に励みます。照れながらも己の進むべき道を確実に歩む隊士たち。その顔はどれも晴れ晴れとしていました。また屯所では”誠”の旗が出来上がり、満足げに誠の旗を見上げる近藤と土方。「もっと勇ましいものを想像していた」と拍子抜けする伝蔵。しかし、この新選組の精神の象徴ともいえるこの旗を、彼は後に最期まで守り抜くことになります。
同じ頃、監察軍団・山崎と島田はある里御坊の女に目を付けます。女は、かつて土方の幼馴染みだった佐絵でした。佐絵は自らを犠牲にし各藩と勤王浪士たちの連絡役として働いていたのでした。それに対し、七里は酒に溺れただひたすら土方を討つことに執念を燃やします。勤王派に利用されている佐絵を蔑む七里。佐絵が国事のためと男と関係しているところへ七里が踏み込み、その男を斬り付けます。そこに監察の報告を受けた土方が登場します。己の身を恥じて自害する佐絵。七里もまた土方に斬られ、佐絵の傍らに寄り添うように果てます。山崎は夫婦らしき二人を共に埋葬してやりたいと土方に告げます。土方は全てを山崎に任せ、独り里御坊を後にするのでした。
この回の見どころは、なんといっても山崎さんの変装オンパレードでしょうか(笑)。
顔を真っ黒にして乞食に変装したと思いきや、次はなんとも立派な侍に変身しています。
(着流しで胸元を開けた姿もたまりませんが、神経質な程に胸元をきっちりしめたサムライ姿も素敵ですね)さすがの伝蔵も「男の中の男」「ようでけたおひと」を連発(笑)。このころから既に山崎さんにメロメロだったようです(笑)。
また、ここでの裏通り先生と沖田さんのやりとりも必見です。早くも沖田の病状に気付いていたのか、しきりに薬や精の付くものを勧める裏通り先生。それに気付きながら、照れくさそうに自然を装おう沖田。細かい描写が泣けてくる程素晴らしいです。

■「祇園・島原」

 第 5話 

ある日、芹沢一派が私利私欲を貪る罪で天誅を加えると称し、大和屋に大砲を撃ち込みます。(恐らくこの大砲は、前回河合さんが必死の思いで会津藩邸に居座り譲ってもらった、血と汗と涙の大砲です・笑)
早速山崎は、事の真相を解明するため芹沢一派と大和屋を調べます。新見の行動を探っていたところ、赤沢という新入隊士が浮上します。赤沢は以前大和屋に奉公していたことがあり、芸者の小染という女性と夫婦の約束をしていました。赤沢は、その小染に芹沢が目を付けたことを恐れ、密かに新見に相談していたのでした。新見は、とりあえず三百両の金を用意しろと持ちかけますが、そんな大金を赤沢が用意できるはずもなく、遂に大和屋が倒幕浪士を援助していたことを新見に曝露します。しかし、当の赤沢は何者かの手により斬殺。山崎は小染に赤沢の死を告げず、去るのでした。
一方、大和屋の件で黒谷に呼び出された近藤と土方は会津藩から芹沢一派の静粛を命じられます。土方は料亭にいる新見に切腹を迫ります。拒否し土方に斬りかかる新見。遂に土方の剣が新見を貫きます。
その夜、嵐の晩。近藤、土方、沖田、井上、原田は、泥酔した芹沢の寝床に進入し、襲撃します。雷鳴の響く中、黒い影が障子越しに写る場面は何度観ても鳥肌が立ちます。誠を貫くため、心を鬼にして挑まねばならなかった新選組の陰の一面を垣間見ることができます。
後日、何も知らない小染が屯所を訪れます。伝蔵から赤沢の死を告げられる小染。それを知った山崎と沖田は、急いで赤沢の墓に向かいますが、そこにはすでに墓の側に寄り添って動かない小染の姿があるのでした。
山崎の思いも虚しく、悲しい結末に終わる話でした。
結束先生は、山崎が機転を利かして人助けをする場面を多く用いてその誠実さを描いていますが、報われず無惨に終わっていることのほうが多いかもしれません(笑)。そう、「燃えよ剣」の山崎さんは報われない役柄なのです(笑)。

■「残陽奈良街道」

 第 6話 

ある夜、女が永倉の巡察隊に不貞浪士がいると声を掛けます。
永倉は見習い隊士・土井を見張りに残し建物に踏み込みますが、怪しい人影は認めません。不信に思いながら路地に戻ると、一人残した土井が路上で息絶えていました。以前にも藤堂の隊で同じ事件があったことを思いだし、見習い一人を残したことに責任を感じる永倉。後日、土井の父親が遺骨を取りに来ますが自責の念で遂に顔を会わせることできないのでした。連日続く事件に、土方は隊内に女と密通する間者がいると考えます。
その頃、隊士・酒井兵助が姉の家を訪ねます。そこには、先日不貞浪士を通報した女・おはまが居ました。おはまは、労咳を患っている夫・久佐ェ門の治療費のために、新選組隊士である弟からの情報を浪士・村田大六に流していたのでした。
一方、沖田は村田たちに襲撃を受け、偶然おはまの家に駆け込みます。おはまは、咳き込み井戸に崩れる沖田を見て、夫の湯薬を飲ませます。床に伏せる久佐ェ門の姿を見た沖田は、自分の病と同じであることを悟るのでした。そこへ、監察の山崎と島田が隊士襲撃を指示した村田を斬り伏せ、おはまの家にやってきます。同じ頃、全てを知った永倉は弟の酒井を斬っていました。
その後、久佐ェ門を治療してもらうため裏通り先生を連れてくる沖田。裏通り先生は、久佐ェ門の命が短いことを悟り、一件の結末を伝えることはありませんでした。
後日、永倉は休暇を取り、旅に出ます。何も言わず出る永倉に、近藤と土方は土井の故郷の奈良に行くことを察していました。夕日の沈む道に、永倉の長い影が写ります。
「燃えよ剣」は、「新選組血風録」とは異なり、土方歳三中心の物語として有名ですが、結束先生のドラマは土方と新選組の人生を描きながら、各回ごとに隊士たちのエピソードもしっかり加えてくれています。
今回も、総て丸くは収まらない複雑な人間模様をうまく描いています。
シリアスな永倉さんを観たい方はお薦めです(笑)。

■「鬼の通る町」

 第 7話 

この回は、試衛館時代からの幹部・井上源三郎、通称”源さん”のお話です。
”源さん”は、当時37〜8歳と新選組の中でも高齢で目録程度の腕前でしたが、温厚忠実な性格で、多くの隊士から慕われていました。試衛館時代も貧しい台所を預かり、大変苦労したようです。
ある日、源さんは沖田を誘って湯葉料理を食べに行きます。新選組が軌道に乗りお手当まで貰えるようになったことを、源さんは「大名気分」とまで言って喜びます。「大名でも安くて上手い店がいいのですね」とからかう沖田。このやり取りがなんとも微笑ましく、”鬼”とは正反対の一面を垣間見ることができます。しかし、京都の人々は口々に「鬼の新選組」「壬生狼」と恐れるのでした。
湯葉料理の店に入ると、新選組と知った店主は順番を入れ替え沖田たちを優先させようとします。しかし、井上から「順番だから待つ」と言われ、新選組の意外な一面に好感を持つのでした。その夜、湯葉料理の女中おさちは偶然にも夫・杉田要助から新選組に入ったことを聞かされ、共に喜び合います。
杉田は、入隊後”ご用部屋”に配属されます。腕に覚えのある杉田は不満を感じながらも、気さくな河合のもと慣れぬ隊務に励むのでした。因みに、ここで映される”(杉田から見た・笑)新選組の日常”が非常に面白いです。ドタドタと慌ただしく廊下を掛けてゆく隊士たち。(丁度良く?)血まみれになって帰ってくる新米隊士(笑)。「大丈夫か!しっかりしろ!」と励ます”幹部の中の幹部(笑)原田”もとても格好良く描かれています。「あ〜っ!これが新選組か〜っ!!!」とばかりに興奮している(ウズウズしている)杉田に対し、「いつものこどどす」「関係あらしまへん」と河合のマイペースなこと(笑)。黙々と味噌・醤油と格闘している様子が笑えます。
ある日、土方は会津藩の使者を送る任務を井上に任せます。ちょうどご用部屋に残っていた杉田を見つけ、「送り届けたあとは交代時間までに戻ってくればいい」と粋な計らいをする井上。井上は、平隊士*である杉田を少しでも女房に逢わせてあげようと考えたのです。しかし、杉田は本陣までもう少しというところで「ここまでで良い」と言われ、そのまま家に帰ってしまいます。そして、杉田が家路に着く頃本陣前では使者が何者かに斬殺されてしまうのでした。明朝、事の次第を告げられる杉田。近藤は「士道不覚悟」を指摘し、土方に処分の決定を委ねます。重々しい空気が流れる中、土方は「切腹」の決断をします。処分に抗議する井上。誰もが行き過ぎた処分と考えながら「例外を認めては鉄の規律が崩れる」と鬼の一面を見せる土方。杉田は入隊後3日目にして切腹します。
後日、井上は山崎に使者を惨殺した浪士の居場所を教えて欲しいと懇願します。「まず一番に土方さんへ伝えなければ」(←山崎さんのこだわり)と言いながら、結局は教えちゃう山崎さん(笑)。山崎さんは、気に掛けつつ(どうなるか分かっていながら・笑)見過ごすことが多いですね(笑)。沖田さんが具合悪そうに壬生の子供達に逢いに行った時も、心配しつつ見過ごしています。後に「そういえば・・・」と切り出し、周りを不安に陥れます(笑)。山崎さん、その場で止めて下さい〜(笑)!いえ、そのほうが面白いのですが・・・。
井上は、単身浪士隊の本拠地に乗り込みます。途中で裏通り先生が井上のただならぬ気配に気付きます(これも、すぐには止めない・笑)。次第を知った土方らは、急いで井上の後を追います。
ここからの死闘は「京 三条 池田屋」に次ぐほどの凄まじさです。障子は破れるは、血しぶきは飛ぶは、井上さんに至っては全身返り血で大変なことになっていました。しかも、斬り方に問題があるのか返り血を浴びているのは井上さんだけ(笑)。しかし、その姿には血とは無縁だった彼の執念というものが感じられます。本懐を遂げた井上に、「よくやった」と声を掛ける土方。その顔は鬼とは無縁の”試衛館時代の歳さん”に戻っていたのでした。

*新選組隊士は幹部以外、外泊を禁止されていました。


■「月明無名小路」

 第 8話 

第8話 月明無名小路

新選組がその名を世に馳せることになった池田屋事件。第8話は、その事件の発端ともなった桝屋喜右ェ門(古高俊太郎)捕縛をもとにしたお話です。
無名小路に面した古道具屋「桝屋」の番頭利助は、仕事に無関心な主人喜右ェ門を不審を抱いていました。
しかし、その喜右ェ門のもとにはやたら多くの武士や浪人が訪れます。
面白くない利助は、同じ使用人のおように愚痴をこぼしながら毎晩遊び歩き、おようもまたその利助を利用してお金を用立てようと企てていました。
一方、喜右ェ門は「金にもならない品物を押しつけられた」といつも大きな荷物を抱えながら神妙な面もちで帰るのでした。
同じ頃、新選組監察の山崎と島田は、禁門の変から姿を消したはずの吉田稔麿ら長州勢が着々と京に入ってきているという情報を掴みます。しかも、その浪士達は一様に無名小路「桝屋」に立ち寄っている…監察と土方歳三は、この裏に潜む不穏な動きを感じ取ります。
ある日、おようから金銭的な相談を持ちかけられた利助は、「桝屋」の蔵の中に目を付けます。
しかしその蔵の中には無数の武器弾薬が隠されていました。利助は、慌てて新選組に報告し、近藤は喜右ェ門を同行します。喜右ェ門は慌てることなく有り金を総ておように手渡し、堂々と出頭するのでした。ここで「京に火を付け、混乱に乗じて天子を奪う」という大変な計画が発覚します。
主人を通報して礼金を受け取った利助は、おようと所帯を持とうと喜んで帰りますが、別の男と逢い引きをするおように遭遇します。逆上した利助は刃物を振りかざし、二人を絶命させてしましました。大量の小判をばらまき自分の犯した過ちに怯える利助。
偶然、居合わせた土方と沖田は、欲望のみに溺れた利助やおようらの無惨な姿を目の当たりにし、人間の愚かさを感じるのでした。
この作品では、金と女に目が眩んだ男と、国事に奔走しあくまで志を貫いた男が対照的に、しかもクールに描かれおり、非常に興味深い作品となっておいます。

因みに、この話に登場する”山崎屋さん”と”島田屋さん”のスパイぶりは必見です。夜遊びから帰る利助をつける場面。酔っぱらいの振りをしながらも急に緊迫した顔に戻る二人(笑)。ここはギャグとしか言い様のない変貌ぶりです(笑)。
また、交替で「桝屋」の動向を探る隊士たちの姿もよく描かれています。斬り込み隊長の沖田、左之助は、”張り込み”という地味で暗い作業が苦手(笑)。「いっそこっちから乗り込んだほうが早い」としびれを切らす左之助。性格がよく表れています(笑)。
ここで、様子を見に来た土方と沖田との会話が非常に興味深いです。
浪士達の行為や思想を”狂人”といいながら、自分達もまたその荒れ狂う幕末に生きる”狂人”とみなす内容。深いです…。


■「京 三条 池田屋」

 第 9話 

このお話は、新選組が自らの名を世に知らしめた「池田屋事変」を取り上げています。監察・山崎烝が薬屋に変装し情報を収集する逸話はあまりにも有名です。歴史的根拠はないとされていますが、このドラマは司馬先生の原作をもとに作られていますので、山崎さんは行商のためわざわざ大阪から京に入り池田屋に潜入するという設定になっています。伝蔵に会っても見向きもしない…心を鬼にして、身分がばれぬよう細心の注意を払います。ここで、裏通り先生が一言、「慎重、細心にて大胆」。この言葉は、話の結末を暗示しているようにも思えます。
この回で、監察・山崎は池田屋で働く子持ちの女性に好意を持ちます。子供の病を気遣い薬を持ってゆく場面は、山崎の人間的な温かさを物語っています。さり気なく、風車を置いてゆくところも必見。決して、押し付けがましくありません(笑)。
しかし、その女性の夫は、池田屋に集まった浪士の一人・大高忠兵衛でした。しかもその浪士は、自分を薬屋と信じ込み、妻と共に心から感謝の言葉を掛けてくれたのでした。この夫婦だけは助けたいと、人情と責務の狭間で揺らぐ山崎。葛藤の中で山崎は懸命に「自分は新選組隊士だ」と自分に言い聞かせるのでした。
いよいよ、決戦の日。近藤率いる隊は池田屋、土方率いる隊は四国屋へ向かいます。山崎は懸命に隊を誘導し、自らも戦いに参加します。ここで凄いのが、山崎さんと島田さん監察軍団のみ鎧を着ていないこと(笑)。かなりの度胸と腕前のようです(笑)。
池田屋では、近藤をはじめ、沖田、永倉、原田、井上らが長州の浪士たちと刀を交えます。ここでの乱闘シーンは圧巻。障子は壊れるは、戸板は飛ぶは(笑)。息も絶え絶え双方もみくちゃになりながら戦う姿は、怪我人が出たのではないかというくらい凄まじいです。
そして戦いの途中、沖田さんの労咳が悪化。敵に襲われ危機一髪というところで土方さんが登場します。土方隊が駆け付けたことで、新選組は優勢に傾き、怪我人を出しながらも見事勝利を収めます。
戦いが終わり、生け捕りにされた浪士もいると聞いた山崎は大高の生存を確認せんと集合場所に駆け付けます。「山崎の手柄」と隊士から賞賛される山崎。しかし、足下に倒れている大高の姿を発見し、呆然とするのでした。
エンディング。池田屋を出る新選組の後ろで、人込みをかき分けながら夫の安否を気遣うおえいの姿が映ります。池田屋に駆け込むところで映像が止まりテロップが流れるのですが、この演出が作品の悲劇さを物語っていて、泣けます。

新選組監察・山崎烝という人物はひたすら影に徹する役で、ともすれば印象の薄い存在になりかねません。しかし、中野誠也さん演じる山崎はその忍耐強さと誠実さがなんとも魅力的でした。山崎ファンは必見の回です。



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